8月26日(火)都内にて、10月25日(土)後楽園ホール「Krush.181」のカード発表会見が行われた。
冒頭、宮田充プロデューサーから今大会について、通常の大会とは異なり、17時開場、17時30分本戦開始でプレリミナリーファイトは行わず、オール本戦で全11試合開催となる旨が発表された。
また今大会は、3日前の「Krush.179」で開幕した第5代Krushフライ級王座決定トーナメントの準決勝が行われることが決定している。1回戦の結果により決まったカードは「安尾瑠輝vs大久保世璃」「海凪vs上遠野寧吾」の2カード。これの勝者は12月19日の「Krush.183」で決勝戦を行う。
これに加え、今回まず発表されたのは第11代Krushウェルター級王座決定トーナメントだ。こちらは4人参加で行われ、決勝はフライ級と同じ12月19日となる。
参加選手が登場する前に、宮田プロデューサーがKrushウェルター級歴代王者を紹介。2013年にトーナメントで決まった初代の久保優太から、野杁正明、牧平圭太、渡部太基、塚越仁志、木村“フィリップ”ミノル、山際和希、加藤虎於奈、松岡力、寧仁太・アリの10人で、今回は2022年の寧仁太の返上から、実に3年を経ての「ウェルター級再始動」となる。
今回の会見は、準決勝で決定した「山際和希vs大石昌輝」、「齋藤紘也vs“DARUMA”健太」の2試合に出場する4選手が一堂に会する形となった。4選手はまず、試合への意気込みを次のように述べた。
大石「今回、Krush王座決定戦に選ばれてすごく嬉しいんですけど、前回ドクターストップで負けて、あんまり試合した感じがしないので、今回は10月勝って12月と2回連続で戦えるので、メッチャ嬉しいです。応援お願いします」
“DARUMA”「このウェルター級のベルトはデビューからずっと目指してきてるというか、Krush-EXからKrush本戦、他団体でも、このベルトのために試合してきたという思いがすごくあるので、ここを僕は獲らなきゃいけないとすごく思ってますし、階級変更組には絶対渡さないっていう意地で今回獲りたいなと思っています」
齋藤「ウェルター級トーナメントに選んでいただき、ありがとうございます。この間の試合はTKOという形で、自分でもあんまり納得いかないような勝ち方だったので、今回10月、12月とインパクトのあるKOをして、自分がKrushのベルトを獲りたいと思います」
山際「今回本当にトーナメントに選んでいただき、ありがとうございます。Krushというのは、若手の勢いある選手で誰が上がっていくかという流れだと思うんですけど、その中に1人だけ僕がいて、違う風を巻き起こそうかなと思ってるので、36歳、まだまだ成長中ですので、逆にここでしっかり強さを見せて、チャンピオンになりたいと思います」
続いて質疑応答。まずは4人に対戦相手の印象が聞かれた。
山際「大石選手と“DARUMA”選手の試合は映像で見ていたんですけども、空手特有の近い間合いとローキックで、“DARUMA”選手がすごくやりづらそうにしていたというのが、印象ですね。僕が戦おうとしたら、こういうイメージでというのはあるので、大石選手のいいところを出させないようにして、しっかり自分のペースで戦いたいなと思ってます」
大石「山際選手は蹴りで距離を取って、試合が上手いというイメージがあるんですけど、自分も蹴りの選手なので、2人で蹴り合ってたらメッチャつまんないと思うので……山際選手はBIGBANGのトップ選手ですけど、試合は不発弾みたいな感じであんまり面白くないと思うので、パンチで打ち合って面白い試合を2人でできたらなと思ってます」
齋藤「“DARUMA”選手はバランスの良い選手だなと思います。YouTubeで試合を見させてもらっても、毎試合毎試合すごく成長しているので、自分ととても噛み合う面白い試合になるんじゃないかなと思っています」
“DARUMA”「齋藤選手は、特にダウンを獲られた後、何かスイッチが入ったあの感じは、ものすごくKrushを体現してるなというのもありますし、そこで僕が打ち合って勝てたらすごく会場を沸かせられるんじゃないかなというのもあるので、いい試合できそうだなと思っています」
この中で大石から「不発弾みたいな試合」と評された山際は、「たまに爆発するんですけどね」と苦笑い。「初めてKrushに出た時は塚越選手と2人で5回ぐらいダウンして(爆発したように)、50回に1回ぐらい爆発するんですけど。(今回爆発するかは)空気次第ということで。流れ次第です」と歯切れの悪い回答。
さらに大石から「蹴り合いじゃなくて殴り合おう」と呼びかけられた件については「そこはあんまりそこはやる気はないんですけども」と、キッチリ拒否。この山際の様子に笑いをこらえられない宮田プロデューサーが「どっちかというと相手の光を消す、『消灯』。それが逆に山際選手の試合巧者というイメージですね。プロモーター泣かせというか。K-1の王座決定トーナメントは大変でしたよね」と言うと、山際は「1日2回負けました」と呼応。8月31日にBigbangでの試合が控えている山際に「しっかり、いい結果で10月、頑張ってほしいなと思います」とエールを送った。
一方、打ち合いの呼びかけを拒否された大石は「必ず打ち合いに持っていって、爆発させます」とコメント。
K-1ジム川口ブルードラゴンに移籍して2戦目でチャンスを掴んだ齋藤には「移籍して、強化できていると思う点は?」という質問が出た。齋藤は「フィジカル面だったり、パンチだったり、本当にもう一から全部変えてきていきます。まだ完成という感じではないんですけど、あと2ヵ月、前の試合よりもとてもいい試合ができて、最高の自分になれるんじゃないかなと思います」
“DARUMA”が所属するK-1ジム蒲田チームアスラは、昨年伊藤健人が敗れてからチャンピオン不在の状況。「ジムにもベルトが欲しいのでは」との質問に、“DARUMA”は「そうですね、本当ジムにベルト欲しいです。僕はアマチュアからずっと蒲田でやってきて、蒲田で育ててもらってファイターになっていったという感じなので、その一つの形として、このベルトは持って帰りたいです」と語った。
続いて4選手に、決勝戦で当たりたい相手は?という質問が出ると、それぞれ以下のように答えた。
“DARUMA”「もちろん大石選手一択で。絶対大石選手が上がってくるというか、山際選手は正直“ギワラー要員”というか、ギワラー(山際のファン)を連れてくるために入ったのかなぐらいにしか思ってなかったので、大石選手一択ですね」
齋藤「自分も大石選手一択ですね。この前、大石選手と試合してTKOという、ちょっと腑に落ちない勝ち方をしてしまったので、次はインパクトのあるKOで勝ちたいです。それと、4選手の中で3選手は、Krushのベルトを獲ったことがなくて、本気で獲りにきていると思うんですけど、1人だけ獲ったことがある選手で、他の3選手よりベルトへの思いが低いと思うので、自分は大石選手とやりたいです」
大石「自分は齋藤選手ですね。(7月にドクターストップで負けているので)絶対やり返したいなと毎日思ってるので、やりましょう」
山際「ちょっと、すごい言われようなんですけど(苦笑)。ひどいなって感じなんですけど……齋藤選手はすごく強い選手だと思うんですけど、(1月に)“DARUMA”選手に負けているので、しっかりリベンジして優勝したいなという気持ちです。あと僕は今年37歳なんですけれども、1年前に引退しようと思ったんですけど、谷山会長がすごくいいトレーナーを呼んでくださって、『この人に教わりたい』と思って。今、すごく強くなってると実感できますし、(Bigbangで行われた)前回の試合も強い姿を見せられたと思いますし、僕もまだ上を目指せるっていう気持ちがあって、決して“流れ”でやってるわけではなくて、強さを求めてやっているというところを見せたいですね」
第7代王者でもある山際は優勝すれば返り咲きとなるが、齋藤からの「一度獲っているので、ベルトへの気持ちが低い」という指摘については「それはないですし(苦笑)、やっぱり失ってから気づくんですよね。それが他の3選手にはない経験だと思うんですけど。Krushのベルトを獲ったときは、(王座決定トーナメント決勝で)近藤魁成君の拳が僕の頭に当たって折れて、マグレで獲ったような形なんですけど、僕はそれでもモチベーション上がりましたし、『よーし、これからいい試合するぞー』と思って。まあ、『いい試合する』がちょっと雑な試合になったり、できもしないのに打ち合っちゃったりとかして(ベルトを)獲られて自分の手元からなくなって、すごく落ち込みましたし、やっぱり今まで家にあったものがなくて、『元チャンピオン』とか言われて。自分で返上してたらまた違ったんですけど、獲られた形だったので、逆に思い入れがすごくあるというか。だから思いがないとかではなくて、やっぱり強いですね」と答えた。
続いて、齋藤に7月の大石戦での勝利後、「外国人を呼んで王座決定戦をやってほしい」とマイクアピールし、宮田プロデューサーの総括で「そんなことが言える勝ち方なのか」と批判されたことについて質問が飛んだ。齋藤は「宮田さんのコメントはYouTubeでしっかり見ました。メチャメチャ言われてるなって思ったんですけど、ウェルター級は全然動いてなかったので、これをきっかけにまた動いてくれないかなと思ってましたし、無視されるよりは言われるが花というか、自分はいい方に捉えました」と回答。
次に山際に「元王者でベテランとして、Krushウェルター級をどう動かしていきたいか」という質問。山際は「ぼ、ぼ、僕がですか」と謎にうろたえた後、「ウェルター級はレベルが高くて、すごくアグレッシブな選手が多いので、別にこのままいっても盛り上がると思いますし、悪役みたいな人がいればまた違うかなと思いますけど、僕はなれないんですよね」と答えた。
続いて山際以外の3選手に「若い選手が獲った方が世代交代感が出てくるというか、未来を感じさせると思うが、そこへの意気込みは」という質問が出た。3選手はそれぞれ以下のように回答。
大石「山際選手が今、『今後どうなるか』と聞かれて言葉に詰まったように(ビジョンがないので)、自分がチャンピオンになったら防衛戦でも何でも、試合が組まれたら誰とでもやるという覚悟を持っているので、自分がチャンピオンになって見せていきたいと思ってます」
“DARUMA”「僕もどんどん試合したいです。ベルトがあれば試合も組まれやすくなるというか、とにかく試合をすることだと思っています」
齋藤「自分は試合がしたいというのもありますけど、今までのKrushウェルター級王者の中でも今が一番強いと言われるような試合をして、勝ち進んでいって盛り上げたいと思います」
この3人の言葉を受けて宮田プロデューサーがマイクを取り、今、ウェルター級はK-1王座も空位の中、このトーナメントでの試合、そこで決まった新王者には強く期待している旨を述べ、選手たちにも「本当に期待してるからね」と念押しした。
最後に、4選手にファンへのメッセージをという流れとなったが、司会が山際に「ギワラーの皆さんに」と振ると、宮田プロデューサーが「ギワラーは何人ぐらいいるの?」とツッコミ。山際が「2~3人ですかね」と答えると、今度は全員が苦笑。改めて4人はファンへのメッセージをこう残した。
山際「ギワラーの皆さん、10月は後楽園を“ギワギワ”言わせますので、応援よろしくお願いします。よろしいですか」
大石「ギワラーの皆さん、不発弾を爆発させるので、応援よろしくお願いします」
齋藤「このトーナメントで必ず優勝して、ウェルター級、K-1も盛り上げていこうと思ってるので、皆さん応援よろしくお願いします」
“DARUMA”「絶対KOでチャンピオンになるっていうのが絶対条件だと思うので、それをしっかり見せるので、ギワラーの皆さんもちゃんと会場に来てください。よろしくお願いします」
どういうわけか会見では山際が“主役”になったが、実際のトーナメントはどうなるのか? ギワラーは何人来て、誰を応援するのか? 一気に注目ポイントが増えたトーナメントは10月開幕だ!