2021.03.23

2週連続開催となる“K-1年間最大のビッグマッチ”「K’FESTA.4」。3月28日(日)日本武道館で開催される「K’FESTA.4 Day.2」の見どころをK-1 WORLD MAX 2003・2008世界王者の魔裟斗さんが徹底解説!

――続いて3月28日の「K’FESTA.4 Day.2」(日本武道館)について伺いたいのですが、なんと言っても注目なのが武尊選手のK-1スーパー・フェザー級王座にレオナ・ペタス選手が挑むタイトルマッチとなります。

「先日、レオナの練習の取材に行ってきたんですけど、レオナ、強いですよ。彼は強い。まず、あの階級で体格が大きいのと、あんまりパンチの選手っていうイメージがなく、距離感をうまく取って戦う選手なのかと思ってたんですけど、パンチが巧くて早い。直接ミットも持ったんですけど、スピードがありますね。あと、ヒザ蹴りもいい。武尊を想定して、すべて練習してきてるなっていうのは感じましたね。

 レオナは左手を前に出して構えるんで、顔が遠く感じるんですよね。身長も高いし。そうやって遠い距離からジャブを突くと、武尊が入りにくいと思うんですよ。そこを武尊が強引に入ってくると思うんで、レオナはヒザ蹴りを狙うというパターンができてるかと。たぶん、そういう作戦だと思います。ただ、武尊が前に出る圧力っていうのは、いままでレオナがやってきた相手とは違うと思うんですよね。武尊の圧力は、僕は世界で一番強いと思ってるんで。この戦いも距離ですね。どちらの距離で戦えるのか。武尊がレオナの懐に入っていければ、おもしろい戦いになるだろうし。入らなければ、レオナの一方的なペースになることもあるし」

――魔裟斗さんが実際にレオナ選手の練習を見て、そう感じられたわけですね。

「レオナは力強いイメージはなかったんですけどね。パンチだけでも、ボクサーとやっていいところまでいくんじゃないかくらいのテクニックを持ってると思いました」

――当初、この対決は昨年の11月3日の福岡大会で組まれながら武尊選手の左拳負傷により中止。そして1月24日「K’FESTA.4」で予定されていましたが、大会延期により、ようやく今回実現します。そういう意味では、レオナ選手は対策を練り続けていたというか。

「ず~っと武尊対策をやってると思いますよ。いつからやってるって言ってたかな……、半年以上はやってるでしょうね」

――レオナ選手の最後の試合が昨年7月なので、それ以降かも知れませんね。

「となると、8カ月ですもんね。今回怖いと思うのが、武尊は去年の年末に(那須川)天心の試合を見てるじゃないですか。この試合のあとに天心戦が噂されてて、自分がイヤでも外からいろいろ言われるはずなんです。そこで気持ちがちょっと先を見てしまうと、足元をすくわれちゃうぞと。そこが不安な材料ではありますよね。この前、本人とちょっと話したら『先のことは見てません』って言ってましたけど。いま、レオナ戦のことを考えてるとはいえ、周りが本人に言ってくるじゃないですか(苦笑)。そういうところで心のスキが出なければいいなと」

――どうしても武尊選手は「これに勝って次だ」みたいなことは周囲に言われるでしょうね。

「ただレオナはそんなに簡単な相手じゃないですから。レオナは武尊を食ってやろうっていう、それしかないんで。そういう相手は怖いですよ」

――武尊選手はリーチの長いレオナ選手に対して、どう戦うのがいいのでしょうか?

「自分の距離に入ることですよ。ブロッキングしたりよけながら自分の射程圏内に入って戦うと。そういう戦いかたを武尊はできるんで。いままでもずっとそれをやってきましたからね」

――魔裟斗さんも現役時代は自分を食ってやろうという選手とたくさん戦ってきたと思いますが、どういう気持ちで対抗してきましたか?

「昔、誰かから聞いたことあるんですけど、下から突き上げる選手のほうが楽なんですよね。だから、逆にあえて『俺は挑戦者なんだ』って自分に言い聞かせてましたね。受けて立つより、俺からいくって思い聞かせたほうが絶対にいいと思います。僕はそうやってました」

――今回は舞台が武道館ということで、2008年10月に同所で行なわれた魔裟斗vs佐藤嘉洋に重ねて見る向きもあり、盛り上がっています。

「僕のインスタにも書いたんですけど『この戦いは死闘になる』と。この試合に勝つ方法は、“本当に勝ちたいと思うこと”なんですよ。俺と佐藤の試合は、途中から頭もガンガン当たってたんですよ、どっちも引かないから(笑)。でもお互い頭が当たったなんてアピールすらしない。でも、あの試合は僕のほうが勝つっていう気持ちが強かったんですよ。あのときは何が起ころうと、絶対に勝つって気持ちでリングに上がったんで。だから佐藤にダウンを取られたぶんを取り返したし、そのあとの決勝戦で(アルトゥール・)キシェンコにダウン取られたのも取り返して。あれは絶対に勝つっていう気持ちからなんで。その気持ちが強いのが、今回はレオナの方なんじゃないかなって気がするんですよね」

――ということは精神面ではレオナ有利、と。

「だから、武尊は先を見ちゃいけないよっていう。繰り返しになりますけど、レオナはそんな簡単な相手ではないです」

――今大会ではK-Jee選手とシナ・カリミアン選手のK-1クルーザー級タイトルマッチも行なわれます。昨年11月3日の福岡大会でのタイトルマッチでは、K-Jee選手がカリミアン選手に何もさせずにTKO勝利を収めてベルトを奪取しましたが、今回の試合予想は?

「倒されたことって絶対に覚えているので、カリミアンは怖さがあると思うんですよ。『また、パンチもらいたくないな』とか。練習では大丈夫でも、いざリングに上がったら思い出すものなんで。カリミアンは愛鷹(亮)にKOされてから、ちょっとパンチに対する怖さが出ましたね。それまではプロの戦績がなかったから怖いもの知らずで、2mの体格を活かしてドンドン前に出ていったからよかったんですよ。でも、愛鷹にああいうかたちでKOされて、前に出るのが怖くなった部分があると思うんですよ。だから、K-Jeeにもやられたんじゃないかなって」

――その怖さというのは克服できるものなんでしょうか? 

「克服するにはK-Jeeに勝つことしかないですよね。あとカリミアンはPOWER OF DREAMで練習していますけど、クルーザー級のスパーリングパートナーがいないっていうのはきついですね。どれだけミット打ちができてもスパーリングができない。やっぱりスパーリングでしか得られないものはいっぱいあるし、一番大事なのがスパーリングなんで。ミット打ちや走ることで身体を作っていって、最後の仕上げがスパーリングですから。それがあんまりできないんじゃないですかね。だから、パンチが怖くなる。スパーリングしてないとパンチは怖いですから」

――K-Jee選手はヘビー級からクルーザー級に転向してチャンピオンとなりましたが、ファイターとしてどのようなところが優れていると思いますか?

「もともと、70kgでやってたじゃないですか。その頃って、やっぱり動きが悪いですよね。減量がきつかったんでしょうね。それがいまなくなって、クルーザーっていう階級が一番合ってるんだろうなって。自分の力が一番出せる階級なんでしょうね」

――もともと持ってるものを出せていると?

「そうですね。おもいきりもいいですよね、パンチの振りかたとか。あと、マジメなんでしょうね。ロードワーク中のK-Jeeに何度か遭遇したことありますよ」

――今大会では京太郎選手の約10年ぶりのK-1参戦(vs実方宏介)も話題を集めています。

「京太郎は強いですよ。昔から強かったですから。前のK-1のときから何試合も見てるし、解説もしましたけど。ピ-ター・アーツとかグーカン・サキ、ジェロム・レ・バンナやマイティ・モーも勝ってるし。京太郎ってパンチのイメージあるじゃないですか。でもローキックが強いんですよ。ローキックとリングの使いかたが巧い。サークリングしながら自分の距離でヒット&アウェイで戦って、削って削って右のカウンターが倒す。それが京太郎の勝ちパターンです。

 ただボクシングに行って10年くらい経ってるじゃないですか。10年間蹴ってないと、一般の人のスネになっちゃうんですよ。僕も2009年の大晦日に引退して、2015年にKID(山本“KID”徳郁)、2016年に五味(隆典)とやったんですけど、1Rで蹴った足が痛くなって、1R以降、蹴れなかったですもん(苦笑)。昔はトーナメントで1日3試合やってもスネなんか痛くなかったのに。でも時間が経つとどうしても骨が普通に戻っちゃうんで。だから京太郎もローキックを蹴ったら自分が痛いと思いますよ」

――なるほど。京太郎選手がインタビューで「ひさびさに蹴ったら、足が痛かった」と言っていたのは本当なんですね。

「本当でしょうね。たぶん、1Rで蹴ったら、2Rは蹴れないと思いますよ(苦笑)。でも、京太郎は実績がありますから。世界のヘビー級で戦える素質があるんで、楽しみです」

 

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