2018.08.16

 宮田充K-1プロデューサーが大会のテーマ・総括など、プロデューサーとしての目線で語るコーナー。今回は特別編として佐藤嘉洋・大会実行委員長が「Krush.92」8.18(土)名古屋大会の見所を語ります!

――今年のKrush名古屋大会が迫ってきました!佐藤実行委員長に今大会の見所を語ってもらいたいと思います。今回はKrush女子フライ級王者のKANA選手の防衛戦がメインイベントに組まれました。

「去年の名古屋大会でKANA選手の試合を生で初めて見たという人が多くて、8割くらいの人たちから『女子であんなKOを見たことがない』『KANA選手がすごかった』と言われました。そのくらいKANA選手のKO勝ちは名古屋のファンにとってインパクトがあって、今回のメインイベントもKANA選手が実力で勝ち取ったものだと思います」

――佐藤さんはKANA選手のどこが他の女子選手と違うと感じていますか?

「KANA選手のすごさは格闘家として女子の枠を超えていることですね。“女子の中で強い”や“女子の中ですごい”ではなくて、男子女子の壁を越えて純粋に格闘家としてすごいと思わせるところだと思います。今のKANA選手だったら動きの中で十分にすごみを見せられると思うので、いつも通りの戦いをやれば間違いなくメインらしい試合をしてくれると思います。

 逆に僕は挑戦者のリュウ・シーベイ選手に注目していますね。シーベイ選手は今すごくレベルが上がっている中国から来る選手で、散打やムエタイのベースがある蹴りの得意な選手です。KANA選手が相手ですが、距離を取ってポイントを取るような戦いではなくて、自分から前に出ていい攻撃を出していくような試合を期待したいです」

――野杁正明選手はウェルター級(-67.5kg)転向を見据えて、今大会では-67kg契約の試合に臨みます。佐藤さんは野杁選手の階級アップをどう感じていますか?

「僕も現役時代に野杁とスパーリングしたことがあるのですが、普段の彼はむちゃくちゃ身体がデカいんですよ。体幹や胴体がものすごくしっかりしているというか。年齢もまだ若いので身体は大きくなりますよね。だから階級を上げていくことは問題ないだろうし、僕はウェルター級で終わらずにスーパー・ウェルター級まで上げてほしいと思います」

――スーパー・ウェルター級(-70kg)ですか!

「今回もただ単に太って体重が増えたわけではなくて筋肉がついて体重が増えたわけなんで、スピードも衰えていないだろうし、彼の技の切れ味は天性のものです。それは階級に関係ないものだと思います。だから本当にスーパー・ウェルター級まで階級を上げてチンギス・アラゾフと戦ってほしいですね。

 ただ対戦相手のヤン・ハオドンは強い選手ですよ。僕は去年末に中国でハオドンの試合を見たんですけど、パワフルなブルファイターなんで楽しみです。野杁が階級を上げて最初の試合でパワー系の相手とどう戦うのか注目しています」

――大和哲也選手は3月の「K'FESTA.1」で野杁選手にKO負けして以来の再起戦です。佐藤さんは野杁vs大和をどうご覧になりましたか?

「あの試合も1Rの序盤は哲也のペースだったと思うんですよ。合氣道の練習の成果が出ていて、野杁も圧力を感じていたと思います。でもそこでただでは終わらないのが野杁の凄さで、哲也の圧力を嫌がりながらも出した技=飛びヒザ蹴りを上手く当てたな、と。結果論ですが僕はあのダウンで半分くらいは勝負が決まっていたのかなと思います。

 だから哲也の動きが悪かったとは思わないし、実際にそれまで3連続KOで来ていたわけですから、自分がやっていることを信じる力は試合に出ていたと思います。結果はKO負けでしたが自信を失うことはないと思います。正直、前回の負けでごちゃごちゃ言う人もいると思うんですよ。もしかしたら『合氣道なんてやっているから負けるんだ』という声があるかもしれない。でもそんなのは全く関係ないんで。むしろそれすらも世の中の面白いところだと思って楽しんでほしいですね」

――そういったことも踏まえて今回の大和選手の試合の楽しみな部分はどこですか?

「今回、僕は哲也の人間模様を楽しみにしています。結果が出ている時は自分がやっていることを信じられていたと思うのですが、3月に野杁に倒されたことで自信を失った部分もあると思うんですよね。そこの葛藤を乗り越えられるのか? それとも迷ったままになってしまうのか? 一人の後輩として楽しみにしています。あくまで僕の話ですが、悩んでいる時に合理的な練習やいい練習環境を整えることも大事だと思うのですが、僕はそれよりも自分がやっている練習や自分の先生を信じる力の方が大きいと思います。

 対戦相手のツイ・ジェンホイは2017英雄伝説アジアチャンピオンシップ64kg級王者で、ムエタイのラジャダムナンスタジアムで3階級制覇したルートシラー・チュムペートゥアとも対戦しています。そういう相手に復活を期す哲也がどんな試合を見せるかですね。

 昨年の名古屋大会ではKANA・野杁・大和が出場して世界の強豪を迎え撃って、今年の同じメンバーが中国の選手たちと対戦する形ですが、この1年でそれぞれ置かれている立場やシチュエーションが変わっているのが興味深いですよね。今回はそれぞれのテーマに目を向けると面白いですね」

――名古屋大会の常連となった大岩龍矢選手はベテランの山本真弘選手と対戦します。山本選手は佐藤さんと同時期に活躍していた選手でもありますが、どんな想いがありますか?

「山本真弘は傍から見ていても力が落ちているのは否めないと思います。今までの山本真弘とは違うし、負けもこんできている。その中で、このまま惰性で選手を続けるのか? それとももう一度トップを目指すのか? 僕はそういうところを見るのが好きなんですよ。僕も含めて周りに『力が落ちている』と思われていても、自分だけは自分のことを信じ切ってやるのはいいと思うんですよ。だから山本真弘という一時代を築いた選手の生きざまを見たいです。

 逆に大岩選手にとっては地元・名古屋で自分のためのだと思って戦うだろうし、この試合もきっちりクリアして更に上を目指していると思います。そこで山本真弘がベテランの意地を見せられるかどうか。そういう試合だと思います」

――また佐藤さんは対戦カード発表記者会見で泰斗vs川崎真一朗の崖っぷち対決についても熱く語っていました。

「僕の中でこの試合が裏メインですよ!2人の記者会見でますますこの試合が楽しみになりました。普通、試合前の会見は試合に向けて前向きなコメントをすることが多いのですが、この2人は連敗中ということもあって、まるでお葬式みたいな雰囲気の会見になって…。僕も一緒に会見に出席していて、この試合に負けた方はどうなっちゃうんだろう?と思うような空気でした。まさにこの試合こそDEAD or ALIVEです。あの会見を見た人は間違いなくこの試合のことが気になったと思うし、そうさせた泰斗と川崎選手はどちらもプロだと思います。僕はこの試合が今年の名古屋大会のキーポイントだと思います。

 あと僕の個人的な話になってしまいますが、プレリミナリーファイトには自分が現役時代に在籍していた名古屋JKファクトリーに縁のある選手たちが出場します。齋藤祐斗は僕の同門で親友の杉浦磨が育てたプロ選手で、新美貴士は名古屋JKファクトリーから久々に出てきたプロ選手です。ぜひみなさんにはプレリミナリーファイトから注目してもらいたいと思います。

 また平本蓮vs近藤魁成の特別試合やスペシャルトークファイトなど試合以外にも見所たっぷりの大会になっているので、ぜひ18日は会場に足をお運び下さい!」